クリステンセン教授のイノベーション3部作の2作目です。 クレイトン・クリステンセン, マイケル・レイナー 『イノベーションへの解』[Kindle版] 玉田俊平太監修, 櫻井祐子訳, 翔泳社, 2015年 出版自体は2003年です。それのKindle版が年始に安くなっていたので、買っておいたものです。さすがに10年以上前の本なので、書いてあることに答えが出てしまっているケースがありますが、これは思いがけないヒットでした。 3部作の1作目、『イノベーションのジレンマ』は読んでおり、この手のシリーズにありがちな「内容はあまり変わらないが、事例だけ変わっている」だけだろうと遠ざけていたのですが、1作目の詳細な記憶が薄れているのも功を奏して、非常に多くのヒントを得られました。 通常、企業では価値基準とプロセスをサイクルの中で確立していき、ルーティンとしてまわすことによって事業を進めていきます。これが持続的イノベーション。一方、破壊的イノベーションは、いわばいきなり現れる大きな変化です。先日紹介した『ムーンショット!』のところで紹介した「適応型イノベーター」の考え方と似ていて、これまでとは全く違う価値基準を持った破壊的イノベーションが起きて成長につながるというわけです。 破壊的イノベーションが起きると、いままでのやり方とは違うものが主体となるので、これまでのものを飲み込んでしまうことになり、これがジレンマになるということですね。なかなかそれまでの収益源をあっさりと捨てるのは難しいと思うので、イノベーションにはそれなりの覚悟が必要ということも言えます。 私自身、新規事業立ち上げということで、既存事業とのバランスを考えなければならない状況にあるので、破壊的イノベーションのレベルまで持っていけば、そこはごめんなさいでいいのだなと割り切るきっかけにもなりそうです。という意味で、このタイミングで読んだのはかなりのヒットであります。 時期的な要素もありますが、通常時であれば4つのところを星5つとします。 評価:★★★★★